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校務DXは、何から手をつけるのか

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執筆 村松 功規コントラン株式会社 代表取締役

文部科学省が校務DXのチェックリストを公開しています。項目を見れば、自分の学校に何ができていないかは分かります。ただ、どこから手をつけるのかは書いてありません。

学校や学校法人の現場で聞くのは、「やることが多すぎて、結局どれも進んでいない」という声です。私は私立の幼小中一貫校で、校務のデジタル化を業務の洗い出しから支援しました。この記事では、その経験から着手の順番の決め方を書きます。

チェックリストを、上から順にやらない

チェックリストは網羅するための道具で、順番を決める道具ではありません。上から順に潰そうとすると、たいてい最初のほうにある重いテーマに当たって、そこで止まります。

先に決めるべきは「どれをやるか」ではなく、「最初の1つを何にするか」です。

校務支援システムの入れ替えから始めない

校務DXと聞くと、校務支援システムの話だと受け取られがちです。ただ、成績・出欠・指導要録のような基幹の領域は、既製のシステムが制度上の責任ごと担っている場所です。入れ替えは大仕事のわりに、日々の業務の負担はすぐには減りません。

現場の時間を奪っているのは、たいていシステムの外側に残っている校務のほうです。申請、承認、点検、予算、備品。紙と口頭とスプレッドシートで回っている領域です。

最初の1つは、どう選ぶか

支援に入った幼小中一貫校では、いきなりツールを入れませんでした。まず効率化の候補を洗い出したところ、49件ありました。

全部はやりません。候補ごとに「影響範囲・使うツール・見込めるインパクト」を付けて、着手の順番を決めました。約3か月で13件が完了し、7件が進行中という進み方です。

選ぶときの観点は3つです。

毎年必ず起きるか。 単発の業務を効率化しても、翌年に残りません。年次で必ず回ってくるものほど効きます。

紙と口頭で回っているか。 置き換える先がまだ無い業務は、効果がそのまま出ます。

進捗が見えないか。 「あれ、どうなりましたか」を人に聞いている業務は、一覧になるだけで変わります。

ペーパーレスと押印の廃止は、最初の1つに向いている

この学校で先に手を入れた業務の一つが、購入申請と経費精算でした。申請書を印刷し、領収書を貼り、提出箱へ持ち込む。ここをフォームとデータベースに置き換え、印刷・貼り付け・持ち込みがまるごと無くなりました。経費精算はスマートフォンから申請でき、レシートは写真を添付します。

紙をやめること、押印をやめることは、校務DXの中でも現場が効果を実感しやすい入口です。基幹の領域に比べて制度上の制約が少なく、変わったことが翌日から目に見えるためです。

型ができると、2件目から速くなる

1件目で「フォーム → データベース → 通知」という型が固まると、同じ型を安全点検や押印申請のような別の業務へ広げられます。最初の1件は遅く、2件目から速くなります。 逆に言えば、最初の1件の仕事は、業務を1つ片づけることではなく、型をつくることです。

このとき、いま使っているツールを捨てる必要はありません。この学校ではGoogleワークスペースとSlackを残し、申請と通知が普段のツールの中で終わるようにしています。

経緯は校務DXで学校の申請業務をNotion化した事例にまとめています。

生成AIは、どの校務から使うか

校務DXの文脈で「生成AIをどこに使うか」もよく聞かれます。大学職員向けの生成AI研修で扱っているのは、文章作成・議事録・資料の要約・データ整理といった手を動かす作業です。先ほどの学校でも、申請内容をデータベースへ転記する処理をNotionのエージェントで自動化しています。

効くのは、毎日発生する「書く・まとめる・写す」の作業です。逆に、決裁の判断そのものや、成績・指導要録のような個人情報を伴う基幹の領域は、最初に使う場所ではありません。校務DXの順番と同じで、基幹の外側の手作業からです。学校事務の生成AI活用は、ここから始めるのが堅いと思っています。

誰が回すのかを、始める前に決めておく

道具と順番が決まっても、作った人しか直せない形で作ってしまうと、その人の異動・退職で止まります。これは校務DXに限らず内製化の全般で起きることなので、大学の事務内製化が、数年後に止まる理由に別途書きました。学校でも構造は同じです。

ツールの選び方から考えたい場合は、学校でNotionは何に使えるのかもどうぞ。

コントランでは、学校の校務DXと生成AI研修を支援しています。チェックリストを前に順番が決まらない、という段階からで構いません。

まずは、現在の課題をお聞かせください。

取り組むテーマや支援内容が固まっていない段階でもご相談いただけます。